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この時期のバド・パウエルは闘病が続いていた精神疾患が落ち着き、パリでの生活は比較的良好だったと言う事だが、確かに定番のピアノ・トリオの演奏は悪くない。 ただし、少なくともそれは「ザ・リターン・オブ・バド・パウエルバド・パウエル」などと比べた感触であって、残念ながらブルーノート時代の聴き手に鳥肌を立てるような、何かに憑依されたような神業的なＰＬＡＹは期待できない。 トリオでのインタープレイは、「ザ・リターン・オブ・バド・パウエルバド・パウエル」より息が合い、本人もリラックスして弾いているような感じはするのであるが、元々の全盛期の力量がとんでもない人物であったためか、見劣りはどうしてもしてしまう。 結論から言えば、録音時代の問題は多少出てしまう盤も存在するのは確かであるが、ブルーノートのシリーズではＲＶＧリマスタリングがバド･パウエルの代表作では殆どある事だし、最低限でverve盤があるわけだから、初心者としてはまずはそこからの傾聴をお勧めしたいところ。 ただし、熱心なバド・パウエルファンであるならば、この盤は別トラックで無いＬＰ未収録のボートラ2曲が存在しているの、コレクターズアイテムと割り切って手を出すのは悪くないだろう。

このベツレヘムの再販シリーズ、矢張り楽天ショップ内でも売り切れの早さはかなりのもので、比較的ポイントが高めにつくショップさんでは人気盤はかなり足が速い。クリス・コナー、デクスター･ゴードン、ハービー･ニコルズの盤などがそれに当たる。 当盤のブッカーリトルの作品も、非常に貴重な存在で、２３歳夭折のラストレコーディングと言うこと、別テイクであるがボートラが２曲ついていると言うことを鑑みれば、コアなファンのみならず、初心者にも十分におすすめできる作品だと思う。 確かに構成はブッカー・リトルのワンホーンでなく、ブラスではトロンボーンとテナーサックスが入っているが、構成曲の殆どがブッカーリトル自身のオリジナル曲で、年齢から考えられないほどのソロ・掛け合いのバランスが絶妙。 ＣＭでまず耳にするようなＪＡＺＺスタンダード曲は確かに皆無であるが、フリーでもフュージョンでもない、ホントにジャズらしい雰囲気を醸し出してくれている。 プチプラに加えて、このベツレヘムのシリーズは音質がとにかく良いので、マイナー感を持たれている方もおられるかもしれないが、ブルー・ノートのシリーズを聴き始めた方などにも十分にリコメンドできる１枚だと思う。